◆MZ-700の映像作品?

 雑誌Oh!mz/Xでは多くの投稿作品がありましたが、非常にかわりだね、という点ではこの「Eyelarth(アイラース)」も5本の指に入ると思います。今でこそ、MacintoshやAMIGAで映像作品が個人でも作れる環境になってきていますが、このEyelarth発表当時はX68000 + DoGA CGAで短い映像作品を作るのがやっとといった時代でした。映像作品と入ってもハードディスクすら、まだ未搭載のマシンがほとんどでしたから、当然シナリオ作って台詞を入れてアニメーションさせて・・・というのは、難しいというか、無理があったと思います。
 すでに、時代は16ビットマシンから32ビットマシンへと移行し、高速大容量メモリへと向かっていました。そんな時代に旧世代の遺物とも言える8ビットマシン、搭載RAM容量は64Kバイト・・・。そんなマシン上で約10分程のショートストーリーが展開される・・・。
「んな、馬鹿な」
個人でDesktop Video (DTV)ができる時代になる遥か以前に、こんな馬鹿な事をしていたとも言えます。



◆反響なし

 今でこそ「インタラクティブムービー」などという言葉が通じる時代ですが、当時はそんなものもなく、またインタラクティブとはいってもキーを押すだけ。自動モードにしておけば、勝手に画面が進んでいく・・・。今までゲームを作ってきただけあって、反応なし、反響なし、評判悪し、文句たらたらといった感じでした。反響がないのに文句というのは身内(テストプレイヤー)です。
 ストーリーもよくわからないし、ゲームじゃないから面白くないし、何これ? とまあ、そんな感じでした。だいたい無茶苦茶な事をやっているのは、わかっていました。が、誰もやろうとしないから、やってみたい、そんな気持ちの方が勝っていました。このEyelarthに関して言えば、非常に珍しい事に「技術優先」でもなく、「改良」でもなく「作りたいから作ったのだ」という事になります。技術的に面白いというわけでもなく、とにかく「作ってみたい」という気持ちが最優先でした。ですから、1〜2箇月ほどで完成してしまったのです。
 この時は、便利なエディタもすでに作成されておりグラフィックを描くのも容易だったからというのもありますが。



◆最後に

 ストーリーもわからないし、演出もあまりよくないし、見ているだけなんて。反響がないのも、反応が悪いのもわかります。が、1つだけ書いておきたい事があります。もし、あなたが何か映像作品なりを作りたいとして、今の環境がよくないからといって作るのをやめますか? Desktop Videoが手軽にできる環境になるのを待ちますか? その時になっても、あなたは決して自分が満足するような作品が作れますか? 多分、あなたはいつまでも作品ができないのは、環境が悪いからというでしょう。

 Story of Pendantへ続く。






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Update : 1996/03/10, 2003/11/20